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第12話 支払うべき代償

Penulis: marimo
last update Tanggal publikasi: 2026-06-13 20:02:09

 俊哉のもとに届いた一通の書類は、あまりにも簡素な、薄い封筒だった。

 企業からの請求書にしては装飾もなく、差出人の住所すら無駄に主張してこない。

 それなのに、手に取った瞬間から、嫌な予感だけが胸の奥に広がっていった。

 だが、その中身は、彼の人生を大きく傾かせるには十分すぎた。

 差出人は――

 東条謙一郎 事務所

 その名前を視界に入れた瞬間、俊哉の指先がかすかに震えた。

 無意識のうちに、唾を飲み込む。

 逃げ場のない現実が、紙という形をとって、目の前に突きつけられている。

 手が震えるのを抑えながら、俊哉は書類に目を走らせた。

 まず最初に記されていたのは、誓約書だった。

 Kurosaki Creative Works 代表取締役 黒崎俊哉様

 ――久遠ひかる氏との過去の関係、及び私生活に関する一切を、

 第三者に口外しないこと。

 違反した場合、社会的信用の失墜を含む相応の措置を受け入れること。

 文字は淡々としている。

 感情も、威圧的な言い回しもない。

 だが、その静けさが、かえって恐ろしかった。

 「……脅しか?」

 喉から絞り出した声は、ひどくかすれていた。

 
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